ブログの問い合わせフォームやSNSで、一番よくいただく質問がこれです。車体が7.5mもあるアドリアのソニック700SLなんて、見ているだけでトラブルの香りがぷんぷん漂っているのでしょう。
結論から言いましょう。
壊れます。
というか、壊れない輸入キャンピングカーなんて存在しません。
大事なことなのでもう一度言いますね。
壊れます。
国産車と同じ感覚で「ノーメンテで何万キロもノントラブル」という夢を見ているなら、今すぐ輸入車ショールームから回れ右をした方が精神衛生上よろしいかと思います。
ただ、誤解しないでほしいのは「壊れて途方に暮れる」のとは少し違うということです。今回は、2018年から輸入モーターホームに乗り続けている私が、実際に体験したアドリア ソニック700SLのリアルなトラブルと不満点を包み隠さずぶちまけます。
走行不能にはならないが、地味にメンタルを削るトラブル達
「壊れる」と言っても、旅先でレッカーを呼ぶような壊れ方は今のところ一度も経験していません。ただ、日本の精緻な乗用車では考えられない「小嫌がらせ」のような不具合は日常茶飯事です。
まず警告灯は、もはやインパネの「インテリアライト」だと思った方が精神的に楽です。メーター内のモニターには色々と警告メッセージが点滅しますが、そもそも何語で書かれているのかすら分からない言語で主張してきます。以前も「多分アドブルーを補給しろって言ってるんだろうな……」と勘で理解するような状態がありました。
写真はアドブルーを補給しろというメッセージだと思います。
具体的に、我が家のソニックで発生した主な不具合は以下の通りです。
- NOxセンサー不良: 走行6000kmあたりでエンジンチェックランプが点灯。アイドリングストップが機能しなくなりました。半導体不足の影響かセンサーの入荷予定すら立ちませんが、走る分には何の影響もないので放置しています。個人的にはあのアイドリングストップは不要なのでむしろ助かっているくらいです。
- フロントガラス周りの樹脂の白化: 黒い樹脂パーツが半年のスパンでやたらと白く粉を吹きます。日本の気候のせいなのか欧州の品質なのかは不明ですが、半年に一回WAKO’Sのコート剤で黒く染め直す作業が毎回面倒で仕方がありません。
- 走行中に天井収納がパッカン: ブレーキのGに耐えられないのか、車体が歪むのか、目的地に到着すると天井収納が開いて中身が全部ブチまけられています。上から落ちてきても怪我をしないよう、今ではクッションや毛布くらいしか収納していません。
メーカーでは「洗練された欧州最高峰のビルドクオリティ」なんて書かれていますが、現場のリアルはこんな感じです。
ギシギシ・ミシミシいう家具の鳴き声なんて、もはやBGMみたいなものですね。
トラブル以前に「実用面」で知っておくべき現実
壊れる・壊れない以前に、日本の道路環境で7.5m級を転がす実用上のハードルも容赦なく襲いかかってきます。
| 項目 | ソニック700SLの現実 | 一言レビュー |
| ボディサイズ | 全長7.5m / 全幅2.3m | Googleマップの罠にハマると一瞬で詰む。田舎道でも立ち往生寸前になること多数。 |
| 実燃費 | 8.0km/L 〜 9.5km/L | 「100km走るのに何L消費するか」という欧州表示なので、毎回脳内変換が必要。 |
| 燃料メーター | 傾斜に異様に弱い | 坂道を走っていると、航続可能距離がいきなり100kmくらい減って本気で焦る。 |
| 運転席の暑さ | パノラマガラス=走る温室 | 見晴らし最高なのは最初だけ。夏場は前面からの日差しで真面目に死にかけます。 |
以前乗っていたZil520(5.2m)の頃は「どこでも停められる」という安心感がありましたが、7.5mになると目的地の駐車場を下調べなしで突撃することは不可能です。
なぜそれでも手放さないのか?「実用投資」としての答え
ここまでボロカスに書くと「そんな車、よく乗ってますね」と言われます。しかし、新車保証の範囲内であれば基本的には費用負担なしで修理できますし、何よりこの不便さと引き換えに得られる室内空間と走行安定性が圧倒的だからです。
後部エントランスから一歩車内に入れば、右を見ても左を見ても広大なリビング。プルダウンベッドを下ろしても人の動線が死なない設計。そして、高速道路で大型トラックに追い抜かれてもびくともしない足回りと乗り心地は、国産キャブコンとは次元が違います。
我が家には、同乗者として体重40kgを超える大型犬(ジャーマン・シェパード)がいます。この巨体が車内でストレスなく過ごし、旅先で一緒にぐっすり眠るためのスペース配分と電源環境を追求した結果が、この7.5mというサイズでした。大切な車内メンバーの安全と快適性を担保するための「実用投資」と考えれば、ネジが緩むだの警告灯がつくのなんて、実に可愛い悩みです。
アドリア系であれば、万が一旅先でトラブルが発生しても全国のデルタリンクネットワークに飛び込むという選択肢もあります(もちろん購入店への事前相談は必須ですが)。カムロードほどのディーラー密度はありませんが、いざという時の駆け込み寺があるのは心強い限りです。
結論:輸入モーターホームに必要なのは整備代ではなく「鈍感力」
キャンピングカーに現代の国産乗用車のような精緻な工業製品精度を求めてしまうと、納車3日で胃潰瘍になります。少しの異音やネジの緩みに「キーッ!」となってしまう繊細な人には、正直おすすめしません。
「まあ走るからいいか」「落ちてきたのがクッションで良かった」と笑い飛ばせる圧倒的な鈍感力さえあれば、この巨大な輸入モーターホームは、あなたの旅を最高の空間に変えてくれます。
壊れることを恐れて縮こまるより、壊れることを前提に笑って受け流す準備をして、ぜひこの沼に飛び込んできてください。






